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学生たちの声topics

イナバノシロウサギ

神話「因幡の白兎」をご存じでしょうか。
この神話を医療従事者は知っておくべきだと
よく言われています。
まずは物語をおさらい。
写真
隠岐の島に住む一匹の白兎が
対岸の因幡に行きたいと考えていました。
しかし自力では海を渡れないので
ワニザメを騙して渡ろうと考え、
「ワニザメさん、君たちと私とで
どちらが仲間が多いか比べてみよう」と
提案し、ワニザメを対岸まで並べさせ、
その背中を跳びながら渡っていきました。
そしてもう少しでたどり着くというところで
嬉しさのあまり「君たちは騙されたのさ」と
高笑いしました。
怒ったワニザメは白兎を捕まえ、
その皮を全てはがしてしまいます。
白兎が痛くて泣いているところに通りがかったのは、
因幡の国に八上比売(ヤガミヒメ)という
美しい姫がいることを聞きつけて、
求婚のために出雲から来た八十神たち
(ヤソガミ;大国主命の兄弟神たち)でした。
面白半分に「海水で洗って風に吹かれていれば治る」と
嘘の治療法を教えました。
白兎が言われた通りにしてみると、
海水が乾くにつれてひび割れて、
ますます痛みが悪化してしまいました。
そこに八十神たちの全ての荷物を持たされた
大国主命(オオクニヌシノミコト)が
遅れて通りがかり、「河口の水でよく洗ってから、
蒲(がま)の穂の上で寝なさい」と白兎に言いました。
その通りにすると、
やがて毛は元通りになり白兎は深く感謝しました。

実はこれが「日本で最初の医療行為」と
言われているエピソードなのです。
河口の水は海水と川水が混ざったいわゆる汽水で、
塩分濃度は生理食塩水に近く、
さらに蒲の穂は蒲黄(ほおう)という名前で現在も
生薬として使用され、傷口ややけどに直接散布して
収斂性止血薬として用いられています。

物語の最後は、感謝した白兎は大国主命に言いました。
「八上比売と結婚できるのは意地悪な兄達ではなく
心優しいあなたでしょう」
その言葉通り、八上比売と結婚できたのは
大国主命でした。

一般的にこの神話の教訓は「因果応報」
良い行いをすれば良い結果が、
悪い行いをすれば悪い結果がでるということ。
では医療従事者が学ぶことは。
「間違った治療を行ってはいけない。
正しい治療を行なうことが大切である」ということ。
そして、ワニザメを欺いた自業自得の白兎であっても、
それを咎めず「誰に対しても公平な医療を行う」
という医療の根本です。

機会があれば再読してみては?